さぽろぐ

映画・TV・音楽  |札幌市中央区

ログインヘルプ


スポンサーリンク

上記の広告は、30日以上更新がないブログに表示されています。
新たに記事を投稿することで、広告を消すことができます。  
Posted by さぽろぐ運営事務局 at

2014年06月12日

ジェットストリーム(ストリ~ム、トリ~ム、リ~ム、~ム、ム、ム・・・・)

「すっとこほ~い・すっとこほ~い・すっとこほ~い・・・」

コンクリうちっぱなしの殺風景な部屋の中で
奇妙な電子音を発する、白く巨大な筒。

こ、これが噂の人体輪切りマシーン「MRI」。
なんという異様な存在感!!

亡き母の闘病中はさんざんお世話になったが、
まさかこれほど早く、自分がここに入る日が来ようとは・・・!

付属の寝台に横になると、
「造影中に動かないように」ってんで、上半身とアタマを器具で固定されてしまう。

で、スタジオで写真撮影するときにホコリをはらうのに使う
ブロワーみたいのを持たされて、
「何かあったら強く握れ」という。

(゚Д゚;)なにがあるというのか!!

最後に、両耳にヘッドホンがかぶせられ、
いまどきちょっとないくらいローファイな音質で
NHKの「ジェットストリーム」的なムード音楽が流れ始める。

「すっとこほ~い・すっとこほ~い・すっとこほ~い・・・」

「ジェットストリーム」のまったり感を台無しにして
鳴り響く電子音の中、

寝台はしずしずとせりあがって
「筒」の中に吸い込まれていき、
ついでにわたしも
吸い込まれていき、

目の前20センチくらいに、「筒」の内壁。
(・・・ああ、棺桶に入ってるみたいだな。)
(・・・焼き場の窯に入るときって、こんな感じかな。)

そんなことを思いついてしまうと、
「ジェットストリーム」のまったりした音楽すら、
妙に〝お葬式のBGM〟的なものに聴こえてきてしまう。

やばい。
俺って閉所恐怖症だっけ?
そういえば、すごく狭いエアダクトとか下水管みたいなとこに詰まって
動けなくなる悪夢を見ることがある!

ダダ上がりする脈拍、呼吸!
と、その瞬間、

「ぎょ~~ん!!ぎょ~~ん!」
「がん!がん!がん!」

昔懐かしいピンボール
あれにそっくりの、衝撃音が全身を覆う。
なんだなんだなんだ!何が起こったんだ!

「びよ~ん!びよよ~ん!」
「ばふっ!ばふふっ!」
・・・自分がゲームセンターの床下に迷い込んで
動けなくなった忍者になった気分。

もはや「ジェットストリーム」は、なんの救いにもなっていない。
というか、この異常なシチュエイションを強調する
役割しか果たしていない。

握るか!
ブロワー的なもの、握っちゃうか!!

・・・それからの20分間は、
ただただ「苦行」でありました。
おそるべし、「筒」。
おそるべし、「MRI」。

×     ×     ×

なんと、この一か月の間に、くび・脳・腰と、三か所ものMRI検査を受けてしまいました。
上は、第一回目の「くび」バージョンの実況中継です。

「筒」と「ジェットストリーム」と「ピンボール」にやられ、
真っ白な灰と化した頭で、それでも冷静に分析する。

(・・・狭いのとうるさいのは構造的なもんだから、どうにもならんだろう。
唯一どうにかできるとしたら、・・・そうだ!あのBGMか!)

×     ×     ×

2回目、脳のMRI。
エンジニアのにいちゃんに
「あの~、BGMって選べたりするんですか?」
と、きいてみる。

「はい、選べますよ。今日はですね、コブクロとエンヤと、古い映画音楽特集と、あとNHKのジェットストリーム(や、やっぱり!!)」

「え、エンヤでお願いします!」

結果的に、エンヤとMRIはなかなかに相性がよかった。
あの、ヤマもオチもない歌声にピンボールのような機械音がからむと、
なにやら、ひところ流行ったインダストリアルミュージックのよううな
奇妙な安定感が!

脳ですからね。
時間的にも、前回よりだいぶ長かったのですが、
とりあえず、がまんはできました。

まあ、体もあの環境に慣れはじめていたのかもしれないが。

×     ×     ×

三回目、腰のMR。

すっかりなじみとなり、
冗談すら言い合う間柄となったエンジニアの兄ちゃんに、

「BGM、これかけてください!」
と、差し出すCD
『矢野顕子 忌野清志郎をうたう』。

(柳家花禄の落語と、西沢和弥と、さいごまで迷った。)

「あ、いいっすよ!」

意外なほどかる~く
望みはかなえられ、

3度目のMRIは、これまでの2回より
時間が短かったこともあり、
ちょっと鼻歌でも歌っちゃおうかな~、くらいの気軽さで、

ああ、これでまたひとつおとなになれたよね
という、克服感が、ありました。

×     ×     ×

結論。
MRIの、あの狭さとうるささは変えられません。
現在のところは!

でも、あのBGMは
ユーザー側の意志で、変えることができます!

これから、はじめてMRI検査を受けるあなた。
勇気を持って、言ってみてください。
「BGM、このCDかけてもらっていいですか?」   

Posted by 独酔舎 at 20:41Comments(0)