さぽろぐ

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2012年12月15日

この空のどこかで

モルヒネが
苦痛とともに
コミュニケーションを
とりはずしていった。

「もう意識はない」と
言われていたのに、

ちょっとした声掛けに手で反応したり
床擦れ防止のため
姿勢を変えてやったひょうしに
眼を見開いたりして

周囲を驚かせた。

・・・その一時間ほど前から、
血中の酸素濃度が下がり始め、

血圧低下。
心音も、やや微弱に。

午前2時17分

酸素マスクの向こう、荒いながらも確かに、
絶え間なく続いていた呼吸が、
ごとり と無造作に止まった。

一年半の闘病
そのことで、
家族はじんわりと
母の「死」を
受け入れることができたが、
本人にはたいへんな負担だったはず。

せめて本人に苦痛を強いる
延命措置は、やめてもらおうと
家族で話し合っていたのだけど

その瞬間は
さすがに動揺した。

それでも、
家族が病室に集まったとときには
まだ心臓は動き体温も残っていた。

夜勤の看護士が
身支度を整えているあいだじゅう
僕の右肩から背中のあたりにかけて
じんわりと気配と「体温」を感じていて

・・・ああ、まだここい「いる」のだな
こういうことってほんとにあるのだなあと

まわらない頭で
そんなことばかり考えていた。

×   ×   ×

12月17日 昼12時15分 出棺。
もし気がついたら
手を合わせてやってください。

この空のどこかで。

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Posted by 独酔舎 at 04:58│Comments(0)
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