2011年10月11日
カンパネルラとカルボナードの間
夏草だらけのホームの上で
赤信号がともっている
汽車なんかどうせ来やしないのにね
駅の名前はカンパネルラ
僕の旅のはじまりの場所
波に洗い清められた
防波堤の先っちょに
二十歳の僕がまだへばりついてた
たどりついたのはカルボナード
石段だらけの漁師町
涼しい風が吹いてくる
トンネルの
奥のほうから
無理矢理に 引き剥がされた
未来の付け根に
滲んだ血が
どうしても 止まらない
海辺の町にはその昔
マハラジャが住んでいた
かなわないことなんか何も無かった
夢のお城は店じまい
眼の高さまではむきだしの赤土
断ち切られてしまったこと
否応無く続いていくこと
それはいいとか悪いとかじゃなく
ただ時間は過ぎていく
カンパネルラとカルボナードの間で
サルベージ船が沖をゆく
今日も暑いよ
そろそろお昼にしないか?
何があろうと腹は減るし
春には花も咲くだろ
みていてごらん
もうすぐさ きっともうすぐさ
夜明け前 浅い眠りの中で
きれぎれの
汽笛の音を聴いたんだ
見上げれば 鉛の空に
青白く光るRailway
その先は
どこにも続いていない
涼しい風が吹いてくる
トンネルの
奥のほうから
無理矢理に 引き剥がされた
未来の付け根に
滲んだ血が
どうしても 止まらない
Posted by 独酔舎 at
21:21
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